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物流センターを効率化するには?課題から具体的な改善手法・事例まで徹底解説

最新更新:2026.08.31

物流センターの現場は今、人手不足や「2024年問題」、物流効率化法への対応に加え、EC市場拡大による荷物の小口化・多頻度化にも直面し、従来のやり方では立ち行かなくなっています。

では、効率化には具体的にどんな方法があり、何から着手すべきなのでしょうか。

本記事では、物流センターの効率化が求められる背景や課題を整理したうえで、現場改善からシステム導入・拠点集約などの戦略的手法、改善事例までを解説します。

物流センターの効率化が急務となっている背景・理由

まずは物流業界を取り巻く環境と、物流センターの効率化が急務とされている背景について、以下の3つの観点から整理します。

  • 2024年問題と慢性的な人手不足
  • 物流関連二法(物流総合効率化法など)の改正
  • EC市場の拡大と配送の小口化・多頻度化

2024年問題と慢性的な人手不足

物流業界全体で人手不足が深刻化するなか、2024年問題への対応は避けて通れない経営課題です。トラックドライバーの時間外労働に年960時間の上限規制が適用されました。それにより、一人あたりが運べる荷物量には限界が生じます。何も対策をしなければ、2030年には営業用トラックの輸送能力が34.1%不足する可能性があるという試算があるほどです。

[出典: 公益社団法人 全日本トラック協会「知っていますか?物流の2024年問題」]

また、人手不足は庫内の人員確保にも影響しています。空調や休憩環境が整っていない現場、最寄り駅から距離がある立地の倉庫では、求人を出しても人が集まりにくく、仮に採用できても労働条件が整っていなければ定着には至らないケースが少なくありません。限られた人数で業務をこなすには、一人ひとりの生産性を高める工夫が欠かせない状況です。

物流関連二法(物流総合効率化法など)の改正

法制度の面からも、効率化への対応は待ったなしです。物流総合効率化法と貨物自動車運送事業法が改正され、荷主企業と物流事業者の双方に、輸送・保管の効率化に向けた取り組みが求められるようになりました。

単なる自主的な努力目標ではなく、法的な責任として労働環境の改善が位置づけられている点は、経営判断のうえでも見過ごせません。

[出典: 国土交通省「『物流総合効率化法』理解促進ポータルサイト」]

EC市場の拡大と配送の小口化・多頻度化

EC市場の拡大も、物流センターの現場を圧迫する要因のひとつです。消費者のEC利用は増加傾向にあります。それにより、一件あたりの荷物の小口化、出荷の多頻度化が進んでいます。

BtoC-EC市場規模の経年推移を表すグラフ
[出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」]

これまでのようにまとまった数量を一括で処理するやり方では対応しきれず、細かい注文を正確かつスピーディーにさばく体制へと切り替える必要が出てきています。

物流センターの効率化を阻む主な課題

社会的な背景に加えて、現場レベルでも効率化を妨げる構造的な課題が存在します。多くの物流センターに共通する課題として、以下の3つをご紹介します。

  • 業務の属人化とヒューマンエラー
  • 庫内レイアウトや動線の非効率
  • 荷待ち時間や制約条件の多さ

業務の属人化とヒューマンエラー

多くの物流センターで課題となるのが、特定の熟練作業員への依存、いわゆる属人化です。商品の配置や作業のコツが個人の経験値に依存していると、新人や派遣スタッフでは同じ作業品質を再現できません。

実際に、検品業務が属人化していた現場では、担当者が不在の際に2名体制でカバーを試みました。しかし、本来1名がこなしていた処理量には追いつかず、その工程がボトルネックとなって後工程の出荷準備にまで遅れが波及するといった事態も起きています。属人化した業務は、人数を増やして代替しようとしても解消しきれない構造的な弱さを抱えているという点は見過ごせません。

また、属人化はヒューマンエラーのリスクも高めます。判断基準を特定の担当者しか把握していない状態では、誤出荷や検品漏れが起きやすく、その対応に追われてさらに現場が混乱するという悪循環に陥りがちです。

庫内レイアウトや動線の非効率

商品の配置や保管棚のレイアウトが最適化されていないことも、生産性を下げる要因です。出荷頻度の高い商品が奥に置かれていたり、関連商品が離れた場所に保管されていたりすると、ピッキングのたびにムダな移動が発生し、動線が複雑になるほど作業時間や疲労も増えていきます。

レイアウトの見直しは、大きな投資をせずに歩行距離を縮められる、着手しやすい改善ポイントと言えます。

荷待ち時間や制約条件の多さ

トラックの到着時間のバラつきによる荷待ち時間(待機時間)の発生も、センター内の作業スケジュールを乱す要因となります。

また、予定外の入荷は、その場で段取りを組み直すロスも発生します。出荷エリアに準備していた荷物を一時的にどかしたり、奥の荷物を取り出すために手前のものを動かしたりと、到着タイミングの読みにくさが余計な荷繰りと時間的ロスを生み、事故のリスクも高めています。

また、納品先ごとに異なる条件や梱包ルールも、作業を複雑にし標準化を難しくする一因となっています。

物流センターを効率化するメリット

効率化への投資は、単なるコスト削減にとどまらず、事業全体の競争力向上にもつながります。ここでは代表的なメリットとして以下の2つを解説します。

  • 物流コストの削減
  • サービス品質の向上とリードタイム短縮

物流コストの削減

作業動線の見直しやシステム導入によって作業時間が短縮されれば、残業代をはじめとする人件費の圧縮に直結します。あわせて在庫管理の精度が上がり適正在庫を維持できるようになれば、余分な保管スペースが不要となり、保管費用の削減にもつながります。

こうした取り組みの積み重ねが、物流コスト全体の最適化を実現します。

関連記事:物流コストとは?費用内訳を減らす方法について

サービス品質の向上とリードタイム短縮

作業の標準化やシステムによる検品を取り入れることで誤出荷防止が徹底され、サービス品質そのものの底上げにつながります。

さらに、庫内作業のスピードが上がれば、受注から出荷までのリードタイムを短縮でき、取引先や消費者からの信頼獲得にも結びつきます。コスト削減と品質向上を両立できる点こそ、効率化に取り組む最大の意義と言えるでしょう。

【現場レベル】物流センターを効率化する具体的な手法

ここからは、大規模なシステム投資を行わなくても、現場の運用を見直すことで着手できる改善手法として、以下の4つを紹介します。

  • 5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底
  • 庫内レイアウトと動線の最適化
  • ピッキング方法の見直し
  • 作業のマニュアル化・標準化

5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底

効率化の土台となるのが5S活動です。庫内が整理整頓されていれば、商品を探す手間そのものがなくなり、作業効率の底上げにつながります。5Sは以下の5つの要素で構成されます。

  • 整理(Seiri):必要なものと不要なものを分け、不要なものを処分すること
  • 整頓(Seiton):必要なものをすぐ取り出せるよう、置き場所・置き方を定めること
  • 清掃(Seisou):ゴミや汚れを取り除き、常に綺麗な状態にすること
  • 清潔(Seiketsu):整理・整頓・清掃の3Sを維持し、衛生的な環境を保つこと
  • しつけ(Shitsuke):決められたルールや手順を、全員が正しく守る習慣をつけること

商品の配置が定まっていない現場では、担当者ごとに置き場所の判断が変わり、探す手間や取り違えが積み重なっていきます。5Sは特別な投資を必要とせず、今日から着手できる改善である点が最大の強みです。

庫内レイアウトと動線の最適化

作業員の歩行距離を縮めるには、レイアウトと動線の見直しも欠かせません。倉庫のレイアウトには、大きく以下の3つがあります。

入荷口・出荷口の配置 向いているケース
I型 対面に配置 ・在庫を長期保管しない「通過型センター( TC )」
・長方形の倉庫
U型 同じ面に配置 ・小口配送( ECや店舗配送など )を扱う標準的な入出荷業務
・構造上、出入り口を1箇所にしか設けられない倉庫
L型 90度の位置関係 ・物理的な制約があり、I型やU型が選択できない場合の解決策として採用

また、出荷頻度の高い商品が奥に配置されていたり、関連商品が離れた場所に保管されていたりすると、ピッキングのたびにムダな移動が発生します。

施設の形状や荷物特性に合わせて最適なレイアウトを選び、作業員同士が交差せず一筆書きで移動できる動線を設計するのがポイントです。

ピッキング方法の見直し

庫内作業の多くを占めるピッキングの方法を見直すことも有効です。代表的なピッキング手法は以下の2つです。

方式 概要 向いている条件
シングルピッキング(摘み取り方式) オーダーごとに商品を集める ・出荷件数が少ない
・オーダー内容が多様
トータルピッキング(種まき方式) 複数オーダーをまとめて集め、後で仕分ける ・出荷件数が多い
・同一商品の注文が集中しやすい

取り扱う商品の特性や1日あたりの出荷件数、オーダーの傾向を踏まえて自社に合った方式を選ぶことが、効率化につながります。

作業のマニュアル化・標準化

属人化を解消し作業品質を安定させるには、マニュアル化標準化が不可欠です。

マニュアルが整備されていない現場では、教育はOJT任せになりがちですが、教える側の人員に余裕がなければ、新人一人ひとりに割ける時間は限られてしまいます。その結果、仕事の習得スピードが新人個人の適性に左右され、覚えるのに時間がかかる人ほど戦力化が遅れ、定着しないまま離職してしまうケースも珍しくありません。

教育の成果を特定の新人の適性に依存させないためにも、マニュアル化は必要な投資です。熟練作業員のノウハウを言語化しておけば、誰が教える側でも一定の水準で新人を育成でき、早期戦力化とヒューマンエラーの削減の両方に寄与します。

【システム・戦略レベル】物流センターを効率化する具体的な手法

現場改善に加えて、IT投資や拠点戦略といった中長期的な視点での解決策にも、物流センターの効率化に大きな効果が期待できます。ここでは、以下の4つの手法を解説します。

  • 倉庫管理システム(WMS)などのITツール導入
  • マテハン機器やロボティクスによる自動化
  • 物流拠点の集約・立地の見直し
  • 輸配送の共同化・モーダルシフト

倉庫管理システム(WMS)などのITツール導入

効率化を目指すうえで有効なのが倉庫管理システムWMS)の導入です。WMSにより在庫状況をリアルタイムに把握できるようになるほか、ハンディターミナルでのバーコード検品を組み合わせることで、目視確認に頼っていたヒューマンエラーを減らすことができます。在庫の見える化と検品精度の向上を同時に実現できる点が、WMS導入の大きな価値です。

マテハン機器やロボティクスによる自動化

フォークリフトやコンベアといった従来のマテハン機器に加え、近年はAGV(無人搬送車)AMR(自律走行搬送ロボット)の導入も進んでいます。

ただし、これらは単体で部分的に導入するだけでは効果を実感しにくいという側面もあります。自動倉庫のような他の自動化設備と組み合わせて初めて、作業員の歩行負担軽減や省人化といった効果が最大限に発揮される点には注意が必要です。

自動化は単発の設備投資ではなく、全体設計の中で組み合わせて考えるべき取り組みと言えます。

物流拠点の集約・立地の見直し

複数の小規模拠点を1つの大型センターへ統合する拠点集約や、立地見直しも抜本的な効率化策のひとつです。拠点をまとめることで在庫の偏在が解消され、管理コストの削減にもつながります。

先述の通り、労働環境や立地は庫内作業員の定着そのものを左右する要素です。裏を返せば、駅近などアクセスの良い立地を選ぶことは、人材確保のしやすさに直結する経営判断になります。

加えて、単なる保管機能だけでなく、オフィスやR&D施設(ラボ)を併設できる多機能拠点を選択肢に入れることで、拠点そのものが事業の意思決定を加速させる場にもなり得ます。

関連記事:「物流拠点の集約・立地戦略についてくわしくはこちら」

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輸配送の共同化・モーダルシフト

自社単独の取り組みだけでは限界がある場合、より広い視点での効率化も検討に値します。同業他社と荷物を混載する輸配送の共同化は、積載率の向上と車両数削減に寄与します。

また、長距離輸送をトラックから鉄道・船舶へ切り替えるモーダルシフトは、ドライバー不足への対応や環境負荷低減にもつながる手法です。

※モーダルシフトは輸送手段ごとに特性が異なるため、切り替えは慎重な検討が必要です。特に船舶輸送は天候の影響を受けやすく、悪天候による欠航が続いた場合、納品に大幅な遅れが生じる可能性があります。

物流センターの効率化・改善事例

ここまで解説してきた手法が、実際の現場でどのような成果につながるのか、代表的な事例として、以下の2つを紹介します。

  • 納品伝票の電子化とデータ標準化による業務時間の削減
  • 仕分けAGV(無人搬送車)導入による30%の時間削減と省スペース化

納品伝票の電子化とデータ標準化による業務時間の削減

メーカーの事前出荷情報(ASN)や卸売・小売業者の入庫予定データを、「物流情報標準ガイドライン」に準拠した情報に変換する「納品伝票エコシステム」を活用した事例です。

データ連携のシームレス化により伝票や受領証のペーパーレス化を実現したことで、受付手続きが簡略化され、荷卸し後の検品待ち時間が短縮されました。これにより、トラック乗務員のセンター到着後の業務時間を15%以上削減できると見込まれており、センター運営の大幅な効率化につながると期待されています。

仕分けAGV(無人搬送車)導入による30%の時間削減と省スペース化

小型のAGVを導入した事例です。ピッキングされた商品を発送方面別や品別などに自動で仕分けることができ、人による仕分け作業と比較して約30%の作業時間削減を実現しました。

また、通常のソーターと比較して1/2〜1/3のスペースで設置が可能なため、物流センター内の限られたスペースを有効活用しながら少人数・短時間での大量仕分けを可能にしています。

まとめ

5Sの徹底やレイアウト・動線の見直しといった現場改善は、投資をかけずにすぐ着手できる効率化の第一歩です。ただし、2024年問題や法改正、EC市場の拡大といった環境変化のスピードを踏まえると、現場改善だけで対応できる範囲は年々狭まっています。WMSなどのシステム導入や、拠点集約・立地見直しといった中長期的な打ち手まで視野に入れることが、持続可能な物流センター運営の鍵となります。

なかでも拠点や立地の選定は、一度決めると簡単にはやり直せない意思決定です。庫内作業員の確保しやすさや、有事の際の事業継続性まで見据えて選ぶ必要があります。

庫内作業員やドライバーの確保、配送効率の改善にお悩みの企業様は少なくありません。「東京流通センター(TRC)物流ビルA棟」は、東京モノレール「流通センター駅」から徒歩1分でアクセスできる立地にあり、働きやすい環境が人材確保の大きな後押しとなります。あわせて免震構造や非常用電源といった高度なBCP対策を備えているため、有事の際の事業継続を支援します。

「まずは条件を知りたい」「実際に施設を見てみたい」「自社の要件に合うか相談したい」といったご要望は、以下のフォームから一括でお問い合わせいただけます。

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この記事の監修

東京流通センター 物流ビル運営チーム

物流ビルA棟・B棟の施設運営知見をもとに情報発信をしています。